手術をして病巣を取り除く方法の外に、放射線でがん細胞を死滅させる方法や
抗がん剤で治療していく方法、ホルモン療法などが用いられます。
乳がん 治療法
1.放射線療法(乳房を全く切らない)
乳がん細胞に体の外から高エネルギーのX線をあて、がんの増殖を抑えたり、
死滅させたりする治療法です。
放射線療法を行う場合、1週間に5回の照射を約5週間続けることになります。
続けて照射を受けることで、乳がんの再発予防効果が高まります。
すでに一定量の放射線を照射した部位への照射や、妊娠中の人への放射線治療、
膠原病の人はできません。
乳房の腫れ、照射部位の皮膚の発赤や水疱、疲労感などの副作用が起こりやすいといわれています。
2.分子標的療法(乳がんの薬物療法)
分子標的療法とは、がん細胞特有の性質をみつけて、それを狙いうちする治療です。
・トラスツズマブ 商品名「ハーセブチン」を使う
投与方法 静脈注射
乳がん細胞膜の外側でHER2の活性化を遮断し、がん細胞死を誘導します。
主な副作用 発熱、嘔吐、悪寒、倦怠感など
・ラパチニブ 商品名「タイケルブ」を使う
投与方法 経口
乳がん細胞膜の内側でHER1、HER2のリン酸化を阻害して、がん細胞の増殖を抑制します。
主な副作用 下痢、発疹、口内炎など
3.内分泌療法(乳がんの薬物療法)
乳がんの内分泌療法は、乳がんの持つ女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)依存性の
性質を利用して、がん治療を行うのが内分泌療法です。
内分泌療法は、比較的副作用の少ない優れた治療法です。
4.抗がん剤(切除手術や放射線療法と併用される)
抗がん剤治療は、化学療法(抗がん剤を使うと、ホルモン療法(ホルモン剤を使う)による
治療の2種類があり、遠隔転移や再発が認められた場合に行い、どちらも全身で
癌細胞の増殖を抑える効果がある治療法です。
手術後、術後薬物療法として、画像では確認できないような体内に残っているがん細胞を殺し、
再発を防ぐために行います。
放射線や抗がん剤でがんを小さくすれば、切除範囲を小さくすることができます。
手術後にがん細胞の増殖を抑えたり、放射線療法が行われた後に、取り残してしまった乳がんや、
全身にがんが転移した可能性ある場合にも、抗がん剤治療が行われます。
ホルモン療法は最低5年間は継続します。
副作用(吐き気や嘔吐、脱毛、疲労など)は使用する薬によっても異なります。
5.外科療法(手術)
乳がんの細胞を手術で切除して治療
乳がんの手術は、乳房にできたがんを切除するために行います。
最も確実な治療方法は手術です。
がん組織を含めた周りの正常組織を同時に切除しますが、切除される正常組織の範囲は乳がんの病期により異なります。
早い段階でみつかった乳がんは、狭い範囲の正常組織を切除するだけですみます。
切除手術には、乳房をのこす乳房温存療法と、乳房切除術があります。
早期がんでは、乳房温存手術が約30%、最も多く行われてるのは、胸筋温存乳房切除術です。
・乳房温存術
乳房温存術は、腫瘍が小さい場合に適しています。
乳房組織全体を切除するのではなく、乳がん腫瘍とその周辺の組織(しこりから2センチの範囲を切除)を切除します。
乳房温存療法は、出来るだけ乳房を傷つけず今までの形のままで残す女性に優しい治療法です。
・乳房切除術
乳がんの腫瘍が大きすぎて、乳房温存療法ができない場合、乳房を温存療法する意義がなくなってしまった場合、乳房の変形が大きくなると予想され、乳房を残す意味がない場合は、
乳房切除術を行います。
乳房切除術で、乳房の組織は全て取り去られますが、転移の可能性が少なくなります。
希望者には乳房再建術を行うことができます。
乳房切除術の種類
・単純乳房切除術
・非定型乳房切除術
・定型乳房切除術(ハルステッド法)
6.免疫療法
癌(がん)治療には、手術・化学療法・放射線療法がありますが、どれも効果以上に副作用で苦痛が伴うことが多いです。
免疫療法は、このような厳しい副作用が比較的少ないことが特徴です。
免疫療法は、活性化リンパ球療法(活性化自己リンパ球療法)などの最先端の
細胞免疫療法(免疫細胞療法)から、東洋医学である漢方療法、健康食品(アガリクスなど)の類までいろいろな種類があります。
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